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自由な知識をオフラインでも──Kiwixを使ってみよう

2022-09-30

ウィキペディアやウィキブックスなどの自由な情報源を利用することは,少なくないはずだ。

自由な知識を手に入れ,共有することは,私がインターネットを使う目的のひとつでもある。

しかし,インターネット接続はどこにでもあるわけではないし,いつでも好きなだけ利用できるわけでもない。異郷の地を旅するときや深い山に踏み入るとき,私たちは,インターネット接続を得るのに,とんでもないほど高額な接続契約を必要とすることがある。

日常の中にだって,インターネットから切り離されることはある。私がいまこの記事を書いている喫茶店は,利用客向けのインターネット接続サービスを提供していない。だから私はいま,きわめて遅い通信速度で契約された携帯電話のほか,インターネットに接続するすべをもっていない。

それだけではない。インターネットが普及して以後生まれた方なら,子ども時代,親にインターネット接続を断たれた経験が一回くらいはあるかもしれない。そして,それと同じことを政府がやらないともかぎらないのだ。昨今のきわめて緊迫した情勢のなかでは,なにが起こるかわからない。インターネットがつながらなくなることなど,想定の範囲内だ。

しかし,Kiwixを使えば,インターネットにつながなくてもウィキペディアやウィキブックスを読める。あらかじめダウンロードしておくことで,オフラインでも読めるわけだ。Kiwixは,GNU/Linux,RepricantおよびAndroid,Windows,MacOS,およびiOSにも対応している。自由ソフトウェアなので,さまざまな機器や環境に対応するよう改変することもできる。

zimファイルの入手

Kiwixは,ウィキを圧縮してひとつのファイルにまとめたzimファイルを読み込む。だから,あらかじめzimファイルを入手しなければならない。

zimファイルは,Kiwixが公式に提供している書庫から入手できる。少しわかりづらいが,「Download-XXGB」とかかれたところをクリックすれば,ダウンロードできる。

ウィキメディア財団のプロジェクト(ウィキペディア,ウィキブックス,ウィキボヤージュなど)はたいてい,各プロジェクト・言語ごとにファイルが配布されている(「日本語版ウィキペディア」「エスペラント版ウィキブックス」「英語版ウィキボヤージュ」のように)。また,「重要な項目だけ抜き出した版」や「文字だけ版」などもある。

ただし,項目が少ないことを理由としているのか,配布されていないプロジェクト・言語もある。たとえば,2022年9月現在,英語版ウィキボヤージュは配布されているが,日本語版ウィキボヤージュは配布されていない。

zimファイルの仕様は公開されているため,技術的知識があれば,自身で生成してもいいかもしれない。

公式書庫から入手できるのは,なにもウィキメディア財団のプロジェクトに限らない。WikiHowやiFixitなど,ほかの自由に利用できる情報源も配布されている。

なお,zimファイルは圧縮されているとはいえ,たくさんの記事がある版だと,それなりに容量も大きい。たとえば,2022年9月現在入手できるウィキペディア日本語版のzimファイルは,文字だけでおよそ11GBもある。英語版にいたっては40GBを越えている。

役立つ場面

Kiwixはさまざまな場面で役立つ。有名な活用例では,発展途上国における教育利用があげられる。

刑務所や学校,軍隊,研究所など,外部と隔離したい場合にも活用できる。コンピュータにKiwixをインストールしてzimファイルを入れておけば,知る権利を保証しながら,外部への情報漏洩などを防ぐことができる。

子どもにコンピュータやスマートフォンを利用させるときも,Kiwixは役立つだろう。インターネット接続をはぶくことで,料金を抑えられる。画像なし版のzimファイルを入れておけば,消費する容量を抑えられるだけでなく,ショッキングな画像を見せなくてすむという利点がある。ウィキペディアにはウイルスや微生物の図も載っているし,さらには性交のようすをえがいた絵まで載っているから,留意が必要だ。

あなたが登山したり,遠洋航海に出たり,インターネット接続の不安定な地域を旅したりする場合は,Kiwixを導入しておくといい。インターネットにつながらなくても,自由な知識を享受できる。

もし旅の予定がなくても,Kiwixとzimファイルは緊急時の備えになる。水や食料とともに,知識も備蓄リストに加えておきたい。

サーバー機能も

Kiwixには,保有しているzimファイルをLAN内に公開できるサーバー機能もある。

インターネット接続がなくても,各自の端末でウィキを読むことができる。インターネット回線を引くことができない場所にある図書館や役所などで,市民に知識を提供できる。

そして,「ウィキペディアやウィキブックスを読むことしかできない公衆無線LANスポット」をつくることもできる。これは学校などで役立つだろう。

再配布してもいい

Kiwixは自由ソフトウェアだ。そして,ウィキペディアやウィキブックスも自由な再配布がゆるされている。つまり,電子データ化された知識を,それを読み出す手段とともに共有できる,ということである。

もし災害でインターネット接続が失われたり,当局により接続が遮断されたりした場合でも,Kiwixとzimファイルを配ればよいのだ。私は,いざというときのためにKiwixのソースコードと,いくつかのzimファイルをUSBメモリに入れている。


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