2022-11-10
Twitterでは,「シャドウバン(shadow ban: 陰での追放)」というものがある。アカウントを停止させられるわけではないが,検索やタイムラインに表示されにくくなるというわけだ。
私はいつも,情報を発信したり得たりするのに,WWWとActivityPub(分散型SNSのオープン標準。Mastodonなどで使われている)を主に使っている。しかし,そのActivityPubの補助として,Twitterアカウントも持っている。
Twitterでは,ActivityPubに投稿した内容をそのまま,あるいは文字数制限がかかる場合は文字数を削減して投稿していた。しかし最近は二重投稿作業が面倒になり,Twitterを利用しなくなっていた。
あるとき,Twitterのシャドウバンを確認するツールをみつけた。興味本位で自分のアカウント名を入れてみると,なんとシャドウバンされているという結果があらわれた。
一瞬,政治的弾圧という言葉が頭に浮かんだ。しかし,「節約ラボラトリ」さんの記事によると,シャドウバンは政治的なものではないそうだ。同記事によると,Twitter外部のURLの記載が多いことが原因だそう。
心当たりは大あり。すべてのツイートに,ActivityPub投稿のURLを貼っていたのだ。
よく考えれば,スパムや詐欺では外部のURLをたくさん貼りそうだ。それに加えて,頻繁に外部ウェブサイトに飛ばされたら,Twitter社としてもたまったものではない。Twitterの管轄外だから追跡が難しいうえ,Twitterから利用者が離れてしまうことにもなりかねない。
Twitterをはじめとした一極集中型のSNSでは,いちおう「言論の自由」が保障されているようにみえる。しかし,この「URLをたくさん貼ると,検索やタイムラインに表示されにくくする」ことが「『言論の自由』の侵害」だと思うかと問われれば,はいと答えるしかない。
しかし,私はそのことでTwitter社を非難する気はない。Twitter社にも自由はある。少なくとも日本において,店はお客様をも選ぶことができるということをご存知だろうか。極端にいえば,店の雰囲気にそぐわないというだけで追い返すこともできるわけである。
だから,URL入りの投稿ばかりしているという理由でシャドウバンする権利も,もちろんある。Twitter社は,その権利を行使したにすぎない。
Twitter社はいち営利企業であり,政府でも公共団体でもなく,半官半民ですらない。もちろん,WWWやActivityPubのような「技術」や「仕組み」ではけっしてない。Twitterに言論の自由を求めてはならない。
結論はこうだ; 一極集中型のサービスに依存するべきではない。一極集中型のサービスでは,運営者の判断いかんで追放されたり,利用において不利になったりすることがある。自身が目にする投稿もまた,運営者の判断によって変わる。
分散型では,信頼できるインスタンスを選んだり,みずからインスタンスを立ち上げたりすることで,「追放されたり,不利になったりしないこと」「技術的な理由と自身の選択のみによって,どんな投稿を目にするかが決まること」を確保できる。
自分でウェブサイトを開設すれば,(Googleなどの検索エンジンに載りにくくなることはあるかもしれないが)掲載内容を自由に決めることができる。自宅サーバーを設置すれば,さらに自由を確保できる。Web2やWeb3ではなく,Web1に戻るべきだ。創作プロジェクトFreshmiaが提唱する「Web1Plus」に賛同する。
Twitterのアカウントは解約する予定だ。シャドウバンされている以上,Twitterを使いつづける理由がない。シャドウバンを解除してもらえるテクニックもあるそうだが,そこまでしてTwitterを使いたいとも思わない。WWWとActivityPubだけで十分だ。