この記事は2023年3月に執筆し,再編集したものです。
佐渡。中学生のときから,ずっと行ってみたいと思っていた。
夏季休業に入る直前に中学校から配布される文書のなかに,佐渡の観光ちらしがあった。しかも,飲食店や土産品店の割引券つきである。
そのちらしを両親に見せ,佐渡に行きたいと何度も言った。だが,両親は多忙なため予定を立てることができなかった。結局,佐渡に行けないまま,私の中学時代は終わりを迎えた。
高校生になったら佐渡に行こう。そう思っていた。しかし,私が高校に入学したのは,2020年。これ以上は,書かなくても分かるはずである。
いつかは訪れようと思っていた佐渡だが,2023年になって,観光する機会に恵まれた。この記事では,佐渡の両津を観光した様子を記したい。
ちょうど新潟に行かなくてはならなかったので,直江津,佐渡を経由して新潟に行こうと考えていた。直江津からは小木港ゆきの船が出ている。だが,私が行こうとした時期は,直江津・小木間の航路が運休だった。
このため,私は新潟市と両津を往復する旅程をとることになった。
新潟駅から佐渡汽船ターミナルへは,路線バスが出ている。新潟の佐渡汽船ターミナルには小さな飲食店があり,佐渡料理が食べられるほか,無料公衆無線LANによるインターネット接続を利用できる。佐渡で朝食をとる予定だったが,出航まで時間があったので汽船ターミナルで食べた。
新潟から両津に行く船は,カーフェリーとジェットフォイルの二種類がある。ジェットフォイルのほうが速いが,運賃はカーフェリーの倍以上。
行きはジェットフォイルを利用することにした。水中翼による揚力で船底が水面から浮き,約60キロメートル毎時を超える速度で航行する。所要時間は1時間あまり。
新潟を離れると,見えるのは水平線のみ。そのあいだ私は,小説のアイデアを考えたり,本を読んだりして過ごした。
船が佐渡に近づいたとき,はじめに見えたのは山だった。山頂は雪をかぶっていた。
汽船ターミナルに登山についての貼り紙があったことから感づいてはいたが,佐渡にも山がある。もちろん,登る人もいる。
両津港汽船ターミナルに到着し,建物から出ると両津の街なみが広がっていた。海ぞいの小さな街で,飲食店や自動車賃貸店が並ぶ。
とくに,自動車賃貸店の多さには驚かされた。佐渡は観光地だが,車社会である。観光客は,賃借自動車を使って移動するというわけだ。
海風に吹かれながら両津の街を歩いた。そして,ところどころOpenStreetMapに記入する。
徒歩で街を周るのは難しいだろうと思い,自転車を賃借
自転車を借り,両津湊
衣料品店や書店,電機店などもある。こんど来たときは,書店に寄ってみようと思う。
ふと旅館が目に入った。ほんとうは泊まりたかったが,翌日の用件を考えると,今日じゅうに新潟に着かないと間にあわない。仕方なく,走り去ることにした。
自転車をこいでいて感じるのは,魚介店が多いということ。離島なので,やはり海の幸は貴重な糧なのだろう。
自由な百科事典ウィキペディアの佐渡市の項目には,佐渡市の農業と漁業についてこう書かれている。当該文は表示 - 継承 3.0 非移植にもとづいて利用を許諾される。一部を中略して引用した。
島の中央にある国中平野では稲作が盛んである。島内産のコシヒカリは「佐渡産コシヒカリ」として魚沼産、岩船産と並んで特別な銘柄が与えられている[4]。
果樹栽培も盛んであり、羽茂地区特産の柿「おけさ柿」(品種名:平核無)や、小木地区特産のイチジク「おぎビオレー」などが挙げられる[5]。 また、島の南岸は温暖な気候であることから、温州みかんの北限栽培地となっている。
(中略)
富山湾と並ぶ国内有数の寒ブリの産地であり、両津湾には多くの定置網が設置されている[7]。金沢市の市場などに多く出荷されるほか、島内では通年で楽しめるご当地グルメとしてブリカツ丼が広く提供されている[7]。 加茂湖の牡蠣養殖や、「南蛮エビ」と呼ばれる甘エビ、イカ、ズワイガニ、いごねりなども有名である。
(中略)
- [4] “10月の旬 コシヒカリ”. 新潟県. 2023年3月11日閲覧。
- [5] 「佐渡のくだもの」(PDF)『ふうど』第33巻、タカヨシ、2016年、1-6頁。
- [7] 「ぞっこん佐渡寒ブリ」(PDF)『ふうど』第27巻、タカヨシ、2015年、1-6頁。
佐渡には,チェーンのコンビニエンスストアやファストフード店が少ない。これはたしかに不便かもしれないが,大企業による侵蝕をゆるしていないという点で,佐渡の方々に尊敬の念をいだいた。
両津にはいくつかのカフェがある。私は,汽船ターミナルのカフェmaSani coffeeと,自転車賃貸
佐渡番茶というものが目にとまり,注文した。GNU/Linux搭載ラップトップでGNU Emacsを開き,佐渡番茶を飲みながら記事を書いた。私が普段飲む番茶より,多少濃い気がした。
あとで調べたところ,佐渡ではほうじ茶のことを番茶というらしい(佐渡ジオパーク公式サイト)。つまり,佐渡番茶とはほうじ茶のことだという。
帰りは,ジェットフォイルではなくカーフェリーを利用した。おけさ丸という船だった。
22時40分発の最終カーフェリーに乗った。二等船室は絨毯敷きで,座る位置は指定されていない。
私が乗船したときは,混雑していなかったので横になることもできた。じっさいに横になっている乗客も多かった。船の揺れが心地よく,眠たくなってしまう。
船内には,ペットボトル飲料だけでなく,牛乳やカップラーメンの自動販売機も置かれていた。さらには公衆電話まである。
この公衆電話,なんと36秒で100円という高額な通話料がかかる。おそらく人工衛星を介しているからなのだろう。
今回は慌しい日程だったが,次回は泊まりがけで観光したいと思った。