中央駅

権利情報

著作権者
作品名
中央駅 (読み:ちゅうおうえき
発行日
著作権上の許諾
この作品の利用を、クリエイティブ・コモンズ 表示−継承 4.0 国際にもとづき許諾する。当該の利用許諾の概要はつぎに示し,許諾書の本文は巻末に置く。
あなたは以下の条件に従う限り、自由に:
あなたの従うべき条件は以下の通りです。
ご注意:

あなたは、資料の中でパブリック・ドメインに属している部分に関して、あるいはあなたの利用が著作権法上の権利制限規定にもとづく場合には、ライセンスの規定に従う必要はありません。

保証は提供されていません。ライセンスはあなたの利用に必要な全ての許諾を与えないかも知れません。例えば、パブリシティ権、肖像権、人格権 などの他の諸権利はあなたがどのように資料を利用するかを制限することがあります。

上記は,クリエイティブ・コモンズ 表示−継承 4.0 国際のコモンズ証より引用。当該引用物は,クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際にもとづき許諾されている。

お読みになる前に

この作品は小説です。実在の人物や団体とは関係ありません。

本作品は、あなたまたはあなたの属する組織にとって、不穏当または不快である可能性があります。

ブログ記事などと比べて非常に文字数が多く、また、空想上のものごとをあつかっているという特性上、多様性や社会情勢への配慮がゆきとどかない場合があることをご了承ください。

きわめて不穏当または不快に感じられた場合は、著者の公開している連絡先にご指摘ください。

代名詞、言葉づかい、職業、しぐさ、行動、所持品などは、特定の性別や性的指向を暗示しません。

このHTML文書は、単体でダウンロードしてもお読みいただけます。ぜひ、GNU wgetなどを活用してダウンロードし、お読みください。

このHTML文書を頒布または複製する必要があるとき,インターネット接続を利用できないかもしれません。署名ファイルおよびクリエイティブ・コモンズ・ライセンスは,HTMLファイルからとりのぞかないでください。

このHTML文書は,GnuPGによって分離電子署名されています。すなわち,このファイルとはべつに署名ファイルが存在し,その署名ファイルがなければ検証できません。

この作品は縦書きでの頒布を想定して構成されました。

本文

中央駅は、この国でいちばん大きな鉄道駅だ。六十ものプラットホームがあり、国じゅうのあらゆるところへ線路が伸びている。

国じゅうの旅客と貨物が、この中央駅に集まる。二十キロメートルばかり離れた隣の市に行くにも、いったん中央駅まで出たほうが早く着く。国じゅうの工場は中央駅にむけて製品を出荷し、国じゅうの商店は中央駅から商品を仕入れる。

中央駅は、鉄道だけの中心ではない。中央駅の十五階は十本の高速道路の結節点であり、首都の一般道へつながるインターチェンジでもある。貨物の積降ろし場であり、高速バスのターミナルでもある。休憩施設には食堂と公衆浴場、お手洗、そしてみやげ屋がある。

鉄道や高速道路にそって引かれた電話線は、すべてこの中央駅に集結する。国じゅうの市街通話を交換する交換機は、ひとつの階をうめつくしている。

市をまたぐ郵便物も、すべて中央駅に集められる。三十一階には巨大な郵便局があり、そこでは国じゅうの郵便物が仕分けされ、配送される。ポストにはいつも郵便物が山ほど入る。長さ五百メートルにもなる壁にびっしりと並ぶ私書箱の横では、局留めの郵便物を受取る人が列をなしている。

この駅で最終列車をのがしても、あわてることはない。駅じゅうのあらゆる通路には、コイン式のカプセルホテルがある。もっと快適な眠りが欲しいなら、二十階から二十五階にあるビジネスホテル「首都イン中央駅」に泊まるといい。さらに優雅な夜を過ごしたいなら、五十階から五十三階にある「ウルトラプレミアム中央駅ホテル」はいかがだろうか。この国でも三本の指に入る高級ホテルだ。

お腹が空いたなら、中央駅でしか買えない「中央駅弁」でも食べてみるといい。でも、この国に住む人はみな、「中央駅弁」を食べ飽きている。だから中央駅のレストランはいつも大混雑だ。

二十六階から二十九階はレストラン街だ。国じゅうのあらゆる地域の料理が、この二十六階だけで食べられる。二十七階はファストフード。二十八階と二十九階は海外料理。

欲しいものがあれば、中央駅で買うといい。三十二階から四十階がショッピングセンターだ。地方のスーパーマーケットには並ぶことのない、めずらしい品物がたくさん売られている。二十四時間で時針が一周する腕時計、公文書用の万年筆インク、タイ語やゾンカ語の辞書、エベレスト登山用の酸素ボンベ、自宅に置けるカラオケマシン、家具を印刷できる3Dプリンタ。

日用品でも、大量に買うなら中央駅に出たほうがおトクだ。輸送費や販売経費が削減できるぶん、売価は安い。ほとんどの品物が、地方の三分の二くらいの値段で買える。

最上階である八十階には、展望台がある。ここから見わたす首都は、まさに絶景と言うべきだろう。はるか眼下には、線路と高速道路があちこちに分岐し、山やまの向こうへと伸びている。

首都は、一般的に想像されるほど商業的に栄えてはいない。この中央駅のほかには、国会議事堂と最高裁判所、国際港と国際空港、そしてこれらを結ぶ広大な道路があるのみだ。ときおり大型バスや要人輸送車が駆けぬけるが、それをのぞいては車も人も見えない。

かつて中央駅を建設するとき、最上階に空港を設置しようという案が出された。結局、費用や安全性の面から非現実的として見送られた。しかし、鉄道会社はまだ中央駅空港をあきらめていない。建築や航空の技術革新によっては、駅の屋上に空港を設置できるかもしれない。そのときはすぐに工事にとりかかるつもりだ。そのときはこの展望台も、数年間は閉鎖されるだろう。

展望台から望む首都の夜景は、この国でいちばんの絶景だ。日が暮れると線路は色とりどりの光で照らされ、国会議事堂には国旗が浮かびあがる。


ことのはじまりは、ひとりの旅客が十七番線のトイレで不審物を見つけたことだった。地方都市から買い出しにきたその旅客は、列車が到着するやいなや、トイレへと駆け込んだ。用を足して個室から出たとき、大きなスーツケースに気づいた。なんとなくいやな感覚をおぼえたその旅客は、すぐに駅員室に行って報告した。

駅員は、小型の検査機を持ってトイレへ向かった。危険な化学物質や爆発物が検知されれば、音で知らせてくれる。

この駅では、不審物の報告など日に二百件は来る。検査機をかざすのは、念のためにすぎない。たいがい、正体はただの忘れ物だ。駅員はいつものように機械をかざした。

けたたましい警告音が鳴った。駅員は血の気が引くのを感じた。いままで何万件という不審物を処理してきたが、検査機が鳴ったことはない。手もとの画面を見た。

「バクハツブツ ケンチ」

十七番線のトイレには立入禁止の札が立てられ、駅じゅうに放送が流れた。この放送の文句は、つぎのとおりだった。駅員の震えた声だった。

「いつも中央駅をご利用いただき、ありがとうございます。お客様にお知らせいたします。駅構内にて不審物が発見されました。駅構内にて不審物が発見されました。お客様の安全を守るために努力し、警戒を強化しておりますが、お客様におかれましても、不審な行動をされる方や不審なお荷物を発見されたさいには、遠慮なく駅係員または警備員にお知らせください」

爆発物処理班は出動命令を受け、十七番線のトイレに向かった。かれらはまず、付近の通路を立入禁止にした。それから問題のスーツケースを調べた。

スーツケースの外側には、なんら不審なところは見受けられなかった。紺色の大きなスーツケースで、車輪が動かないよう車輪止めがかけてあった。ファスナーは、すべて施錠されていた。

起爆回路が内部に設けられているかもしれない。車輪止めをはずしたり、鍵をこじ開けようとしたり、さらには、すこし傾けたりしただけでも爆発してしまう危険があった。高価な可搬型のX線検査機が投入されたが、これさえも危険と隣合わせだった。最近の爆弾は、X線を当てただけでも爆発してしまうものもあるのだ。

結局のところ、スーツケースの内部には信管は見つからなかった。鍵を開けてみると、なかにはたくさんの火薬が詰まっていた。

火薬は安全に処理され、空になったスーツケースは捜査に回された。不審物の報告からじつに六時間が経過していた。このあいだに百七十本の列車が運休になり、八本が遅延した。

それからほぼ時を同じくして、七階の天井裏で配線を点検していた電気技師が、不審な箱を見つけた。本来ならなにも置かれていないはずの場所に、合成樹脂製の小さな箱があった。型番も製造者名も記載されていなかった。その箱から伸びる電線は、交流二百ボルトの電源につながっていた。

駅長は廊下から旅客らを退避させ、七階全域の二百ボルト電源を遮断した。すぐに爆発物処理班が天井裏に昇った。十分後、かれらはその箱を持って廊下に降りてきた。

「よかった。爆発物ではありませんでしたよ。中身は、こんな感じです」班員のひとりが、箱を開けた。

「これは、シングルボードコンピュータですね」

電気技師が、箱をのぞき込んで言った。

「高校時代に使っていたやつだ。これに配線をつないでプログラムを組むと、おもしろいものがいろいろとつくれるんですよ。自動水やり機とか、ドアモニターとか」

「爆弾も?」駅長が尋ねた。

「もちろん」

「これはなんだと思う? なにに使われているんだろう?」

「おそらく、盗聴機ではないかと。ここに無線LANモジュールがありますね。そして、ここにマイクが。これらは、はじめからついてくるわけではない。別売りなんです。」

「盗聴機? 一般旅客の歩くこの通路に?」

「おっしゃる通り、この通路に盗聴機を置くのは不自然です。しかも、百ボルト電源ではなく二百ボルト電源につながっていた。いつも、ノートパソコンは百ボルト電源につなぐでしょう?」

「電圧が高すぎるといいたいのかね? 電力消費量がからんでくる、といいたいんだろう。盗聴機をしかけるようなやつが、駅の電気代を考えてくれるわけがない」

「それでも、盗聴機をあえて二百ボルト電源につなぐことはないでしょう。犯人はおそらく、私たち駅関係者を怖がらせようとしていたんだと思います。あえて高い電圧の電源につなぐことで、物騒な想像をさせようとしたのでしょう。すくなくとも、この機械をしかけた主要な目的は、盗聴ではないはずです」

「盗聴以外の目的で盗聴機をしかける? いったい、どういうことだね。私も世の残酷さは知っているつもりだが、こんな奇妙な計略をかけられたのは初めてだ」

シングルボードコンピュータは、鉄道警察によって解析された。動作していたプログラムは、つぎのとおりだった。

駅の公衆無線LANに自動接続し、キャプティブポータルでは架空のメールアドレスを用いて認証を突破。収集したデータを、匿名ネットワークを通してどこかへ送る。

送信されたデータは音声だけではなかった。とくに、無線LANから多くの情報を収集していたことがわかった。無線LANアクセスポイントに接続しているほかの機器のMACアドレス、やりとりされたパケットの発信元や送り先、DNSへ問い合わせられたドメイン名と返ってきたIPアドレス、さらにはアクセスポイントに接続していない機器が放つ信号にいたるまで、さまざまな情報が収集されていた。

基盤に印刷されていた製造番号から、このシングルボードコンピュータは中央駅電気街のコンピュータ屋にて一年前に小売されたことがわかった。だが、足跡を追えるのはそこまでだった。筐体に付いた指紋からOSの動作ログに至るまで、あらゆる痕跡は徹底して消し去られていた。

それから約十時間後、朝の六時ころだった。

首都イン中央駅のフロント係をしている高橋は、宿泊客から部屋の鍵を受け取り、いつものように言った。

「追加のご清算はございません。ご宿泊ありがとうございました。いってらっしゃいませ」

「ありがとう。また来るよ」

宿泊客はそう言うと、第二エレベータホールへと続く通路へ歩き去った。なにごともなくてよかった、とフロント係は思った。

その宿泊客は、前日に高橋がチェックインを担当した。

都条例では、すべての宿泊客に本人確認をもとめることになっていた。かれはいつもどおり身分証の提示をもとめた。

そのとき、宿泊客から差し出された運転免許証に、なんだか違和感をおぼえた。書体が、自分の免許証のものと違う。番号にかかっている網も、印刷が雑だ。問いただそうと思ったが、眠気のほうがまさった。高橋はそのまま宿泊をゆるし、仮眠室にかけ込んだ。

一時間ほど経っただろうか。清掃係が恐怖の表情をうかべて、フロントにかけ込んできた。

「たいへんです。部屋に、爆弾が」

チェックアウトの列にならんでいた宿泊客らの目線が、いっせいにかれに向けられた。

「し、静かに。お客さまを不安にさせてはいけないよ」

「爆弾があるのかね?」会社員ふうの宿泊客が、重い声でたずねた。

「えっと、清掃員が不審物を発見したとのことで」

そう言いいかけたところで、その客はおびえきって逃げだした。ほかの客も、それにつられてパニックになり、カードキーを放り投げ、大きな荷物をその場に残して逃げ去った。通路の向こうからは、こんなさけび声が聞こえた。

「爆弾! 爆弾! ホテルに爆弾が!」

「何号室で?」高橋は、カードキーの散乱する床をまえに、清掃係にたずねた。

「一七八号室です」

その答えを聞いて凍りついた。違和感のある運転免許証を示した、あの客が泊まっていたからだ。自分のせいで、爆弾魔をまねきいれてしまった。

「いったい、なんの騒ぎだね。物騒な言葉がいくつか聞こえたが」

支配人が、仮眠室の扉を開けて出てきた。

「爆弾なんです。爆弾が部屋に。一七八号室に、赤と青のケーブルがあるタイマーが」

「爆弾? 赤と青? それは本当か?」

「私がうそをつくとでも思っているのですか。ほんとうに見たんです」

「そうか。一七八号室には誰が泊まった?」

支配人は答えを待つことなく、コンピュータのマウスを手に持った。

「おい、これはなんだ。住所の地名がおかしいぞ。おい高橋、ほんとうに免許証を確認したのか?」

「はい、しました。でも、なんか変で、字体とか」

「なら、なんで泊めた! おまえはバカか、それともテロリストか? お前が爆弾をしかけたに等しいんだぞ、お前が!」

一七八号室に行ってみると、たしかに爆弾らしきものが机の上に置かれていた。

それは段ボールでできた箱だった。黒いテープが巻かれた筒がいくつか並び、赤と青のケーブルが一本ずつとび出ていた。内部の回路は見えなかった。

「宮本、すぐに警察を呼べ。鉄道警察に電話しろ」支配人が言った。

宮本と呼ばれた従業員は、まわりの目をさけるように廊下の端に行った。そしてポケットから携帯電話を取り出すと、駅の鉄道警察に電話をかけた。

呼鈴が鳴り、エレベーターの扉が開いた。フロントへ向かおうとする宿泊客らを押しのけ、高橋は一七八号室にかけ込んだ。

「なんだ、おまえは。クビだと言っただろう。さっさと帰ったらどうだ--なにをする!」

支配人ともうひとりの従業員が、箱に近づこうとする高橋を制止した。

「死なせてください。ぜんぶ私が悪いんです。爆弾で死なせてください」

「これ以上迷惑をかけるな! 爆弾が爆発したら、部屋が吹き飛ぶんだぞ!」

支配人は、高橋をつかんで廊下へ引きずり出した。もはや、胸に支配人の札をつけていることも忘れていた。

「駅で毒でも飲むか、電車に飛び込んで死ね!」

そのとき、机上に置かれた箱から電子音が聞こえた。一七八号室のなかにいた宮本は、狼狽して部屋から飛び出した。

「爆発する!」

宮本はエレベータホールに走ると、かご呼びボタンを連打した。

「爆弾、爆弾、爆発する!」

それを聞いて、宿泊客らはパニックになった。呼鈴が鳴り扉が開くと、その場に居あわせたみながわれさきにと乗り込んだ。

定員超過のブザーが鳴った。幾人かが、ほかの宿泊客らによってかごの外に投げ出された。かれらがふたたび起き上がったときには、かごの扉は閉じかけていた。

宮本は扉のすき間に手を入れた。扉はふたたび開いた。

「あっち行け」客がさけんだ。

「どうか、乗せてください。お願いですから」

「つぎのエレベータを待てばいいだろ」

「で、でも、爆発、爆発」

「とっとと下に行かせろ!」

客が宮本を突き飛ばした。そのとき、一七八号室から破裂音が聞こえた。かごの扉は閉じることなく、罵声と定員超過のブザーとが階じゅうに響くのみだった。

一七八号室にあったものはすべて焼け、壁はすすで真っ黒になった。他の客室への延焼はまぬがれたものの、首都イン中央駅は営業をつづけることができなかった。

駅の開業以来はじめて、火災警報器のベルが鳴った。約二百五十本の列車が運休になり、約四百本が遅延した。約十五万件の市外電話がつながらず、約一万通の郵便物が遅配された。

地方では約二日間にわたって食料も手に入らず、家族や友人の安否も知ることができなかった。


この騒ぎから数日が経ち、首都イン中央駅も火元以外の階は営業を再開した。駅じゅうの監視カメラの映像が解析されたが、発炎筒をしかけたあの宿泊客の行方はわからなかった。 中央駅の改札内にある十七番通路は、首都近郊の路線が乗りいれるプラットホームにつながっていた。ここではいつも発車ベルと旅客の靴音が響き、案内板の表示が点滅する。発着する列車は止むことがない。

ことは金曜日の夕刻に起きた。

毎週恒例のこととはいえ、中央駅は混雑をきわめていた。十七番通路も例外ではなかった。あちこちで「特別快速」や「週末ライナー」の表示が点滅し、巨大なかばんを持った旅客が行き交っていた。

なんの前ぶれもなく、トイレの壁が吹き飛んだ。爆発音が、階じゅうにこだました。十七番通路は恐怖と闇とにつつまれた。破片で電線がちぎれ、照明も案内板も電力が断たれたのだった。 切符売場から飛び出した駅員が見たのは、恐怖でわれを失った旅客と同僚の姿だった。人ごみをかき分けて十七番通路に入ると、けがをして身動きがとれない旅客と、散乱した荷物とが懐中電灯に照らされた。

案内放送のチャイムが鳴った。聞きなれない声が聞こえた。

「われわれは、駅のいたるところに爆弾をしかけた。指示にしたがわないと、おまえたちはみんな死ぬことになる」

「駅など爆破させてしまえ」とさけぶ声があった。しだいに、その声はかき消された。

爆音がとどろき、炎があがった。しかし、そこは中央駅ではなかった。国じゅうのあらゆる街で、いっせいに爆弾が爆発したのだった。

留意

作中には、爆発物を処理する場面がありますが、この記述をじっさいの爆発物処理に利用しないでください。

駅の爆破、爆破予告、乗っ取りなどの行為を是認または奨励する意図はありません。

筆名について

私が本作品で用いている筆名「池田笠井闘志」は、本名「笠井闘志」に、離婚した父の姓「池田」を付したものです。父方の家系への敬意を示すため、「池田」を付しています。

クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス

ライセンスされた権利(定義は後述します)の行使により、あなたは、クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際 パブリック・ライセンス(以下「パブリック・ライセンス」といいます)の条項に規律されることを受諾し、同意します。本パブリック・ライセンスが契約と解釈されるであろう範囲において、あなたはこれらの利用条件のあなたによる受諾と引き換えにライセンスされた権利を付与されます。そして、許諾者は、あなたに対し、それらの条項のもとでライセンス対象物を利用可能にすることから許諾者が受領する利益と引き換えに、そのような権利を付与します。

第1条 定義

  1. 「翻案物」とは、著作権およびそれに類する権利の対象となり、ライセンス対象物について許諾者が有する著作権およびそれに類する権利に基づく許諾が必要とされるような形で、翻訳され、改変され、編集され、変形され、またはその他の方法により変更されたマテリアルで、ライセンス対象物から派生したか、またはライセンス対象物に基づくものを意味します。本パブリック・ライセンスにおいては、ライセンス対象物が音楽作品、実演または録音物で、これらが動画と同期させられる場合には、翻案物が常に作成されることになります。
  2. 「翻案者のライセンス」とは、翻案物に対してあなたが寄与した部分に生じる、あなたの著作権およびそれに類する権利について、本パブリック・ライセンスの条項に従って、あなたが適用するライセンスのことをいいます。
  3. 「表示-継承互換ライセンス」とは、本パブリック・ライセンスと本質的に同等であるとクリエイティブ・コモンズによって正式に承認された、creativecommons.org/compatiblelicensesにおいて列挙されたライセンスのことをいいます。
  4. 「著作権およびそれに類する権利」とは、その権利がどのように名づけられ、または分類されるかにかかわらず、著作権および/または著作権に密接に関係する類似の権利をいいます(実演、放送、録音物、およびデータベース権を含むが、これに限られません)。本パブリック・ライセンスにおいては、第2条(b)(1)および(2)において規定される権利は、著作権およびそれに類する権利ではありません。
  5. 「効果的な技術的保護手段」とは、1996年12月20日に採択されたWIPO著作権条約第11条、および/または類似の国際協定の義務を満たす諸法規の下で、正当な権限なしに回避されてはならないものとされる諸手段をいいます。
  6. 「例外および権利制限」とは、ライセンス対象物をあなたが利用する場合に適用される、フェアユース、フェアディーリングおよび/または著作権およびそれに類する権利に対するその他の例外もしくは権利制限をいいます。
  7. 「ライセンス要素」とは、クリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスの名称中に表示されているライセンスの属性をいいます。本パブリック・ライセンスのライセンス要素は、表示および継承です。
  8. 「ライセンス対象物」とは、許諾者が本パブリック・ライセンスを適用した美術的または文学的著作物、データベース、またはその他のマテリアルを意味します。
  9. 「ライセンスされた権利」とは、本パブリック・ライセンスの条項に基づき、あなたに与えられる権利をいい、かかる権利は、あなたによるライセンス対象物の利用に適用され、かつ、許諾者がライセンスする権限を有する、全ての著作権およびそれに類する権利に限定されます。
  10. 「許諾者」とは、本パブリック・ライセンスのもとで権利を付与する個人または団体を意味します。
  11. 「共有」とは、複製、公開の展示、公開の上演・演奏、頒布、配布、通信または輸入のような、ライセンスされた権利に関する許諾を必要とするような手段または手法により、公衆に対しマテリアルを提供すること、および、公衆がマテリアルを利用できるようにすること(公衆の各人が、自ら独自に場所および時間を選択してマテリアルにアクセスすることができる方法を含みます)を意味します。
  12. 「データベース権」とは、データベースの法的保護に関する1996年3月11日の欧州議会および理事会指令 96/9/ECの結果として生じた、著作権以外の権利、(この指令が修正および/または継承された場合それらを反映したもの)、および、世界中の本質的に同等な権利を意味します。
  13. 「あなた」とは、本パブリック・ライセンスのもとでライセンスされた権利を行使する個人または団体をいいます。「あなたの」もそれに対応した意味となります。

第2条 範囲

  1. ライセンス付与
    1. 本パブリック・ライセンスの条項に従い、許諾者はあなたに対し、ライセンス対象物について、以下に掲げるライセンスされた権利を行使できる全世界的な、無償、再許諾不可、非排他的、かつ取消不可なライセンスを付与します:
      1. ライセンス対象物の全部または一部を、複製および共有すること、ならびに
      2. 翻案物を作成、複製および共有すること
    2. 例外および権利制限 誤解を避けるために記すと、例外および権利制限があなたの利用に適用される部分については、本パブリック・ライセンスは適用されず、あなたは本パブリック・ライセンスの条項に従う必要はありません。
    3. 有効期間 本パブリック・ライセンスの有効期間は第6条(a)にて規定されます。
    4. 媒体および形式;許可される技術的改変 許諾者は、あなたに対し、あらゆる媒体や形式(現在知られているか、または今後作られるか否かを問いません)において、ライセンスされた権利を行使する権限、およびその行使に必要とされる技術的な改変を行う権限を付与します。許諾者は、あなたが、ライセンスされた権利を行使するために必要とされる技術的な改変(効果的な技術的保護手段を回避するために必要とされる技術的な改変を含みます)を禁止するいかなる権利または権限を放棄し、および/またはこれらの権利または権限を行使しないことに同意します。本パブリック・ライセンスにおいては、本第2条(a)(4)により認められる改変をするだけでは翻案物を作り出すことにはなりません。
    5. ダウンストリーム(下流側)の受領者
      1. 許諾者からの申し出-ライセンス対象物 ライセンス対象物の受領者は、許諾者から本パブリック・ライセンスの条項の下でライセンスされた権利を行使できるという申出を自動的に受け取ります。
      2. 許諾者からのその他の申し出-翻案物 あなたから翻案物を受領した者は、あなたが適用した翻案者のライセンスの条件にしたがった翻案物におけるライセンスされた権利を行使できるという申出を自動的に許諾者から受け取ります。
      3. ダウンストリーム(下流側)への制限の禁止 あなたは、ライセンス対象物の受領者がライセンスされた権利を行使するのを制限されることになる場合には、ライセンス対象物に対して、いかなる追加条項または異なる条項も提案または課してはならず、あるいは、いかなる効果的な技術的保護手段も適用してはなりません。
    6. 支持表明がないこと 許諾者または第3条3(a)(1)(A)(i)に定められている許諾者以外のクレジット表示の対象として指定されている者が、あなたまたはライセンス対象物のあなたによる利用について、関連している、援助・支持している、あるいは正式な地位を付与している、と主張または示唆することを本パブリック・ライセンスは許諾しておらず、またはそのように解釈されてはなりません。
  2. その他の権利
    1. 同一性保持の権利のような著作者人格権は、本パブリック・ライセンスのもとではライセンスされません。パブリシティ権、プライバシー権、および/または他の類似した人格権も同様です。ただし、可能なかぎり、許諾者は、あなたがライセンスされた権利を行使するために必要とされる範囲内で、また、その範囲内でのみ、許諾者の保持する、いかなるそのような権利を放棄し、および/または主張しないことに同意します。
    2. 特許権および商標権は本パブリック・ライセンスのもとではライセンスされません。
    3. 可能なかぎり、許諾者は、ライセンスされた権利の行使について、直接か、または任意のもしくは放棄可能な法定のもしくは強制的なライセンスに関する仕組みに基づく集中管理団体を介するかを問わず、あなたからライセンス料を得るいかなる権利も放棄します。その他一切の場合において、許諾者はそのようなライセンス料を得るいかなる権利も明確に保持します。

第3条 ライセンス利用条件

ライセンスされた権利をあなたが行使するにあたっては、以下に記載された諸条件に従う必要があります。

  1. 表示
    1. あなたがライセンス対象物(変更されたものを含む)を共有する場合は以下のことを行う必要があります:
      1. ライセンス対象物と共に許諾者から提供されていれば、以下のものを保持すること。
        1. ライセンス対象物の作者その他クレジット表示される者として許諾者によって指定されている者を識別する情報を、いかなる形であれ許諾者によってリクエストされた形が合理的である場合はその形で(指定されている場合は仮名も含む)
        2. 著作権表示
        3. 本パブリック・ライセンスを参照する表示
        4. 「無保証」を参照する表示
        5. 合理的に実施可能な場合には、ライセンス対象物のURIまたはライセンス対象物へのハイパーリンク
      2. ライセンス対象物を改変した場合はその旨を記し、従前の改変点についての表示も保持すること。
      3. ライセンス対象物が本パブリック・ライセンスに基づきライセンスされていることを示すこと、および、本パブリック・ライセンスの全文またはそのURIか本パブリック・ライセンスへのハイパーリンクのいずれかを含めること。
    2. 第3条(a)(1)の条件は、あなたがライセンス対象物を共有する媒体・方法・文脈に照らして、いかなる合理的な方法でも満たすことができます。例えば、必要とされる情報を含むリソースのURIやハイパーリンクを付すことで条件を満たすことが合理的な場合があります。
    3. 許諾者からリクエストされれば、あなたは第3条(a)(1)(A)に掲げるいかなる情報も合理的に実施可能な範囲で削除しなければなりません。
  2. 継承
    第3条(a)の条件に加えて、あなたが作成した翻案物をあなたが共有する場合、以下の条件も適用されます。
    1. あなたが適用する翻案者のライセンスは、本パブリック・ライセンスと同じバージョンもしくはそれ以降のバージョンの、同じライセンス要素を有したクリエイティブ・コモンズ・ライセンス、または表示-継承互換ライセンスでなければなりません。
    2. あなたは、あなたが適用する翻案者のライセンスの全文またはそのURIかそのライセンスへのハイパーリンクを含めなければなりません。あなたは、あなたが共有した翻案物における媒体、手段および文脈に基づくいかなる合理的な方法によっても、この条件を満たすことができます。
    3. あなたは、翻案物に対し、あなたが適用する翻案者のライセンスによって付与される権利の行使を制限するような、いかなる追加のもしくは異なる条項も提案しもしくは課すことはできず、またはいかなる効果的な技術的保護手段を適用することもできません。

第4条 データベース権

ライセンスされた権利にデータベース権が含まれており、ライセンス対象物のあなたの利用に適用される場合:

  1. 誤解を避けるために記すと、第2条(a)(1)に従い、データベースの全てまたは実質的な部分のコンテンツの抽出、再利用、複製または共有をする権利をあなたに与えます。
  2. あなたがデータベース権を持つデータベースに、あなたが、本データベースのコンテンツの全てまたは実質的な部分を含める場合、あなたがデータベース権を持つデータベース(ただし、個々のコンテンツではありません)は翻案物となります(同じことが第3条(b)における翻案物の判断にもあてはまります)。
  3. あなたは、データベースのコンテンツの全てまたは実質的な部分を共有する場合は、第3条(a)の条件に従わなくてはなりません。

誤解を避けるために記すと、本第4条は、ライセンスされた権利が他の著作権およびそれに類する権利を含む場合の本パブリック・ライセンス下でのあなたの義務に追加されるものであり、置き換えるものではありません。

第5条 無保証および責任制限

  1. 許諾者が別途合意しない限り、許諾者は可能な範囲において、ライセンス対象物を現状有姿のまま、現在可能な限りで提供し、明示、黙示、法令上、その他に関わらずライセンス対象物について一切の表明または保証をしません。これには、権利の帰属、商品性、特定の利用目的への適合性、権利侵害の不存在、隠れた瑕疵その他の瑕疵の不存在、正確性または誤りの存在もしくは不存在を含みますが、これに限られず、既知であるか否か、発見可能であるか否かを問いません。全部または一部の無保証が認められない場合、この無保証はあなたには適用されないこともあります。
  2. 可能な範囲において、本パブリック・ライセンスもしくはライセンス対象物の利用によって起きうる直接、特別、間接、偶発、結果的、懲罰的その他の損失、コスト、出費または損害について、例え損失、コスト、出費、損害の可能性について許諾者が知らされていたとしても、許諾者は、あなたに対し、いかなる法理(過失を含みますがこれに限られません)その他に基づいても責任を負いません。全部または一部の責任制限が認められない場合、この制限はあなたには適用されないこともあります。
  3. 上記の無保証および責任制限は、可能な範囲において、全責任の完全な免責および免除に最も近いものとして解釈するものとします。

第6条 期間および終了

  1. 本パブリック・ライセンスは、ここでライセンスされた著作権およびそれに類する権利が有効な期間、適用されます。しかし、もしあなたが本パブリック・ライセンスに違反すると、本パブリック・ライセンスに定めるあなたの権利は自動的に終了します。
  2. ライセンス対象物をあなたが利用する権利が第6条(a)の事由により終了した場合でも:
    1. あなたが違反を発見してから30日以内に違反を是正した場合に限り、違反を是正したその日に、自動的に復活します。または、
    2. 許諾者により権利の復活を明示された場合に、復活します。

    3. 誤解を避けるために記すと、本第6条(b)は、許諾者が、あなたの本パブリック・ライセンスに関する違反に対する救済を求めるために有するであろういかなる権利にも影響を及ぼしません。
  3. 誤解を避けるために記すと、許諾者は、いつでも、別の条項の下でライセンス対象物を提供したり、ライセンス対象物の配布を停止することができます。しかし、その場合でも、本パブリック・ライセンスは終了しません。
  4. 第1条、第5条、第6条、第7条、第8条は、本パブリック・ライセンスが終了してもなお有効に存続します。

第7条 その他の条項

  1. 許諾者は、明確に合意しない限り、あなたが通知するいかなる追加のまたは異なる条項にも拘束されません。
  2. ライセンス対象物に関する取り決め、了解事項または合意でここに言明されていない一切のものは、本パブリック・ライセンスの条項とは切り離され、独立したものです。

第8条 解釈

  1. 誤解を避けるために記すと、本パブリック・ライセンスは、本パブリック・ライセンスによる許諾に基づかない、ライセンス対象物のいかなる合法的な利用も縮小したり、限定したり、制限したり、条件を課したりするものではなく、またそのように解釈されてはなりません。
  2. 可能な範囲で、本パブリック・ライセンスのいずれかの規定が執行不能とみなされた場合には、本パブリック・ライセンスは、執行可能とするために必要最小限度の範囲で自動的に変更されます。もしある規定の変更が不可能な場合には、その他の条項の執行可能性に影響を与えることなく、当該規定は本パブリック・ライセンスから切り離されます。
  3. 本パブリック・ライセンスのいかなる条項も、許諾者の明確な合意なしには、放棄されることはなく、また、順守しないことに同意することはありません。
  4. 本パブリック・ライセンスのいかなる条項も、許諾者やあなたに適用される、あらゆる特権や免責(司法権や当局の法的手続からの特権や免責を含む)に対する制限や放棄を構成するものではなく、またそのように解釈されるものではありません。
  5. クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスの当事者ではありません。ただし、クリエイティブ・コモンズは、自らが公開するマテリアルに、自らのパブリック・ライセンスのいずれかを適用すると決定することができ、その場合には許諾者とみなされます。クリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスの文章はCC0パブリック・ドメイン宣言のもとで提供されています。本マテリアルがクリエイティブ・コモンズ・パブリック・ライセンスで共有されていることを公衆に示すという限られた目的の場合、またはcreativecommons.org/policiesで公表されているクリエイティブ・コモンズの方針に基づいて許容される場合を除き、クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズとの事前の書面による同意なしに、「クリエイティブ・コモンズ」の商標や関連商標もしくはクリエイティブ・コモンズのロゴを使用することを認めていません。ここで認められていない使用には、クリエイティブ・コモンズのパブリック・ライセンスの許可されていない改変との関係での利用、その他のライセンスされたマテリアルの利用に関するいかなる取り決め、了解事項または合意との関係での利用を含みますが、これらに限られません。誤解を避けるために記すと、この項はパブリック・ライセンスの一部ではありません。

    クリエイティブ・コモンズにはcreativecommons.orgから連絡することができます。